【資産防衛】「タックス・ヘイブン」とは何か

2015年7月17日

 

【連載コラム】所得税ゼロのパラダイス(第1回)

 

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日本の法人税率は世界でもトップクラスの高税率で、経営者にとって過酷な状況です。世界では名だたるグローバル企業が、各国の税制を徹底的に研究し、税率・税務的に有利な国を巧みに利用する「グローバル節税」を積極的に経営戦略に取り入れています。「したたかさ」を抜きにしては、今日の厳しいビジネスを勝ち抜いていくことはできません。積極的に海外に打って出て、グローバルなタックス・プランニングを展開した者だけが生き残れるのです。
この連載では、税率が低い国=タックス・ヘイブンをどのように選べばよいか、詳細にアドバイスしていきます。

第1回は、そもそもこのタックス・ヘイブンとは何か、ということからお話しします。

※本連載は2014年10月刊行『究極のグローバル節税』(幻冬舎メディアコンサルティング刊)からの抜粋です。


 

英エコノミスト誌(2013年2月16-22日号)の記事によれば、世界には50から60のタックス・ヘイブンがあり、約200万のペーパー会社の本籍地になっています。また無税の投資資金は21兆USドルを超えるとのことです。

 

さて「タックス・ヘイブン」という言葉は皆さんもよく聞くことと思いますが、しかしその実際の定義は、国内法でも国際的にもいまだ定まっていません。

 

一般的にタックス・ヘイブンとは、その特徴から、

a.無税国

b.低税率国

c.国外源泉所得非課税国

d.租税特典国(持株会社などに対する)

 

と大きく4つに分けられます(ちなみにエコノミスト誌ではこの4つの特徴に加え、規制の緩さと秘匿性を加えてタックス・ヘイブンをカウントしています)。

 

これらの要素から、国・地域全体がそのままタックス・ヘイブンになる場合もあれば、特定の税金や法人、個人に租税特典があってタックス・ヘイブンになるケースもあります。またオフショア・ファイナンス・センターもタックス・ヘイブンと同じ意味もしくは特殊なタイプとされることもあります。

 

またbの「低税率」も自国からみればという相対的な基準ですが、税金も投資や事業のコストであり、企業も個人も税金が低いに越したことはありません。会社も個人も低税率国や無税国に引きつけられ、それを見越して国家間での税に関する競争が起きることになります。

 

タックス・ヘイブンの4つの特徴

 

タックス・ヘイブンは世界を大きく分けると、ヨーロッパ、カリブ海・中南米、アジアという3つの地域に分散していますが、観光地としても有名な島嶼国に多いこともわかります。

 

先述したaからdの4分類が、税制上どのような特徴を持っているのか、またこの図にある国々が、4つのうちどれに当たるのかを説明します。

 

a.無税国

無税とは、法人や個人の所得、相続資産に対する税金がまったくないということです。ただし、その他の固定資産税や印紙税などの税金について必要となる国・地域はあります。a~dそれぞれの分類は、所得税や法人税に対する分類だと考えて下さい。aの無税国ではそうした税金が一切かかりません。そこでaのタイプをタックス・パラダイス(税金天国)とも呼ぶこともあります。

 

このタイプにはケイマン、バミューダ、バハマ、ブリティッシュ・バージン・アイランド、バーレーンといった国があります。

 

b.低税率国

低税率国とは税金が低い国です。法人税率は、シンガポールが17%、香港が16.5%、台湾が17%、マカオが12%です。

 

日本の法人税は地方税を加えた法定実効税率で約35.64%(東京都の場合)ですから、香港、シンガポールは日本の約4割の税金で済むということになります。給与にかかる税金も、グロスの収入について香港は16%ほどで済みます。

 

ヨーロッパでは、モンテネグロが9%、アイルランド、キプロス、リヒテンシュタインが共に12.5%です。スイスの特定のカントン(州)もこの分類に入ります。イギリスも2014年には23%の法人税率を21%に下げ、2015年4月にはさらに20%まで低下させることが予定されています。

 

c.国外源泉所得非課税国

国外源泉所得非課税国については、少し詳しい説明が必要でしょう。自国で(本店)登記している会社は、世界のどこで所得が発生しても本店所在地で税金が課税されます(全世界所得課税)。

 

同時にその所得が生じた外国でも税金が発生しますが、この場合、自国での納税に際して控除できることになっています(外国税額控除)。ところがcのタイプの国は、たとえば香港では香港以外の外国で発生した所得については、送金があっても税金がかかりません。

 

このように国外で生じた所得が非課税となる国を国外源泉所得非課税国といいます。ただし、国外所得となる要件は、低税率国かつ国外源泉所得非課税国タイプのタックス・ヘイブンでは、厳しいといえます。

 

このタイプには、マレーシア、リベリア、パナマなどがあります。また、シンガポールは送金された際に課税があります。ちなみに、日本は現在、外国子会社の配当については95%が非課税になっていますので、一応このタイプに入ります。

 

d.租税特典国

租税特典国とは一定の会社や活動に特典を与えてくれる国です。持株会社などの一定の免税会社について、また投資所得など一定の所得については、法人税の課税を免除ないし軽減する国を指します。すでに紹介したオランダの資本参加免税制度やイギリスの外国支店非課税制度、ルクセンブルクの金融会社などがこれにあたります。

 

パテント・ボックスという制度がヨーロッパにあります。パテントは特許権等の意味ですが、特許権に代表される一定の知的財産に関連するロイヤルティ所得について、低税率を適用する優遇税制です。イギリスの場合、その最高実効税率は10%、ベルギーは6.8%、オランダは5%といった税率になっています。

 

次回は、タックス・ヘイブンの活用法について考えます。

 

※本連載は2014年10月刊行『究極のグローバル節税』(幻冬舎メディアコンサルティング刊)からの抜粋です。

 

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