【資産防衛】コストを上回る節税効果がなければ無意味

2015年8月5日

 

【連載コラム】所得税ゼロのパラダイス(第4回)

 


日本の法人税率は世界でもトップクラスの高税率で、経営者にとって過酷な状況です。世界では名だたるグローバル企業が、各国の税制を徹底的に研究し、税率・税務的に有利な国を巧みに利用する「グローバル節税」を積極的に経営戦略に取り入れています。
「したたかさ」を抜きにしては、今日の厳しいビジネスを勝ち抜いていくことはできません。積極的に海外に打って出て、グローバルなタックス・プランニングを展開した者だけが生き残れるのです。

この連載では、税率が低い国=タックス・ヘイブンをどのように選べばよいか、詳細にアドバイスしていきます。

今回は、タックス・ヘイブンの費用対効果の留意点についてお話しします。

第3回『租税条約の有無の重要性』はコチラから

※本連載は2014年10月刊行『究極のグローバル節税』(幻冬舎メディアコンサルティング刊)からの抜粋です。


 

タックス・ヘイブンでは、会社をつくるコストとその会社から得る利益との兼ね合いが問題となります。

 

一般的に、タックス・ヘイブンは、2つ以上の国を利用することで効果的なプランを立てることが可能になります。つまりそれぞれの国に1社ずつ会社を設立して相互取引を行うことで節税効果が増加するのです。

 

しかし複数の会社を設立するには、設立費用、登記料、年間会社維持費用(たとえば資本金額に応じた公租公課など)、弁護士、税務専門家の報酬などが2倍はかかることになります。さらにペーパーカンパニーではなく経済的な実体を持つためには、オフィスの賃料や現地の役員、従業員などの給与負担、会計事務所への費用負担が発生します。

 

したがって、それらのコストを上回る節税効果がなければ、複数の会社設立は意味のないプランとなってしまいます。この点は事前に十分検討しておかなければなりません。

 

会社法の規制、会社設立コストを見る

 

現地で株主が出席した上での株主総会を年次で開かなければならない、といった会社法のあるタックス・ヘイブンでは、わざわざその度に現地へ赴かなければなりません。当然、飛行機代、ホテル代など出費がかさみ、時間もかかります。

 

ほとんどのタックス・ヘイブンには、株主総会を年に1回開く旨のきてい規定があります。ただし、その条件はさまざまで、世界中のどこの国で開催してもよい、現地で開催するが電話でも参加できる、書面決議はファックスや電子メールの回覧でも可能という内容も少なくありません。

 

次に確認が必要なポイントは、最低資本金制度の有無です。ほとんどのタックス・ヘイブンにはその規制はありません。つまり1USドル・カンパニーが可能というケースが大多数となっています。もちろん、一応チェックしておくべきでしょう。特殊な会社、自家保険会社や証券会社などは、事業の内容規模に応じて、最低資本金がかなり大きなものと規定されていることもあるからです。

 

最後に、役員の最低員数、役員のうち1人は現地に居住していることが必要、といった規定があるかについても確認が必要です。会社の形態にもよりますが、ほとんどのタックス・ヘイブンでは、取締役は1名、セクレタリーも1名でよく、居住者でなくてもよいことになっているようです。

 

政治的・経済的安定性を分析する

 

カリブ海のケイマン諸島やブリティッシュ・バージン・アイランド、バハマなどはイギリスの法経済制度にならっていますので、政治的・経済的に安定しています。またマン島や、英仏間の海峡にあるチャンネル諸島のジャージーやガーンジー等は、国防、外交などの機能をイギリスに委ねており、同様に安定した政体を持っています。

 

もちろん例外もあります。

 

たとえばキプロスは、イギリスやロシアの投資資金を受け入れ、オフショア・ファイナンス・センターとして隆盛を誇っていました。しかし、ユーロ危機の結果、同国はEUやIMFから金融支援を受けることになり、大手銀行の大口預金(主なものはロシアからの流入資金)の強制カットや、海外資金流失を防ぐための資本規制を余儀なくされています。

 

外国為替規制の有無

 

タックス・ヘイブンを利用することにより、資金のフローが生まれるケースは少なくありません。投資資金が自国からA国、A国からB国、B国から自国というように移動するわけです。その度に為替が必要になりますが、ほとんどのタックス・ヘイブンはオフショア・ファイナンス・センターとして機能しているので規制はほとんどありません。ただし、先に挙げたキプロスの例もあるので注意は必要です。

 

通信・交通手段を検討する

 

電話、ファックス、電子メール、インターネットといった通信手段の進化は地球上のほとんど隅々にまで広がっています。しかし、南太平洋に浮かぶ島国のタックス・ヘイブンなどでは、通信・交通手段の整備が先進諸国と比べて見劣りするのも確かです。こうした点も検討余地のひとつです。

 

その点、主要なオフショア・ファイナンス・センターなどは、世界中に出先のオフィスを構え、会計事務所がIBC(インターナショナル・ビジネス・カンパニー)設立の取り扱いを行える体制を採っています。たとえば、ブリティッシュ・バージン・アイランドの会社は香港でも設立できます。

 

ロケーションを考慮する

 

かつては自国から近いタックス・ヘイブンを利用するというのが世界共通の認識でした。ニュージーランド、オーストラリアであれば南太平洋のサモア、クック諸島、バヌアツ、米国ならばカリブ海のタックス・ヘイブン、ヨーロッパならルクセンブルク、リヒテンシュタインといった具合です。

 

しかし最近では、通信手段の発達によって、地理的な距離の重要性はほとんどなくなっており、ヨーロッパの人でもシンガポールの金融機関を利用することが多くなっています。

 

弁護士・税理士のサービスも必須確認事項

 

弁護士・税理士等のサービスが充実しているか、国際的な銀行の支店が多くあるかなどもタックス・ヘイブン選択の重要なポイントです。欧米の個人や会社が多く利用するオフショア・ファイナンス・センターには、世界的な大銀行の支店やビッグ・フォーといわれる世界四大会計事務所のオフィスがあり、そうした事務所等から投資時の税務情報などを得ることになります。ただし、料金は高くなってしまいますから、その点を現地の弁護士・税理士等と比較すべきです。

 

次回は、各国のタックス・ヘイブンへの対策税制について見ていきましょう。

 

※本連載は2014年10月刊行『究極のグローバル節税』(幻冬舎メディアコンサルティング刊)からの抜粋です。

 

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