【立読み/減価償却】先んずればトクをする―節税の規制の歴史

 

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本コラムは、2014年4月に刊行いたしました黄金律新書『スゴい「減価償却」』(杉本俊伸+GTAC著 幻冬舎メディアコンサルティング)の立ち読み記事(vol.12)です。全文は書籍をご覧ください。


 

ここまで解説してきた減価償却による節税は、以前から中小企業オーナーなどの資産家の間でよく行われていたものです。しかし、極端な活用が増えるにしたがって規制されてきた歴史があります。税法と節税の関係を理解する助けになるので、簡単に振り返っておきましょう。

 

減価償却を活用した節税は過去大きく3回規制されてきました。一番目は、平成10年度税制改正により、平成10年4月1日以降取得された建物の償却方法が定額法に限定されたことです。平成10年3月31日以前に取得した建物には、定額法または定率法の選択が認められていました。

 

この規制の背景には、賃貸マンションなどに投資をした個人や法人が、投資初期に定率法を利用してその不動産に関する所得を赤字にし、それを他の所得の黒字と相殺して節税して、課税を繰り延べる事例が多かったことがあるのでしょう。

そこで、建物の減価償却方法としては、課税の繰延がしにくい定額法のみに限定されることになったと考えられます。

 

二番目は、平成17年度税制改正です。この改正前は、航空機を何人かで共同で所有し(任意組合)、減価償却を活用して各共同所有者の不動産所得(航空機の貸付については不動産所得)を赤字にして、他の給与所得、事業所得等との損益通算を行うことにより、課税の繰延を行うとともに、航空機等を5年超保有していると長期譲渡所得が2分の1になる税法の規定を利用することにより、全体として節税を実現することが合法なものとして行われていました。

 

そこで、こうした節税策を防止するため、組合事業への実質的な関与度合いが低い組合員(特定組合員)である個人が、平成18年以後の各年において、組合事業から生じる不動産所得の赤字がある場合には、所得税法上、その赤字は生じなかったものとみなすこととされました。これにより、組合事業から生じる不動産所得の赤字を他の黒字の所得と相殺することはできなくなりました。なお、特定組合員とは、いわゆる任意組合などの組合契約を結んでいる組合員のうち、重要業務を執行等しない組合員をいいます。

 

また、有限責任事業組合(組合員である出資者が出資額までしか責任を負わない組合)においても、任意組合等に対する措置と平仄を合わせるため、組合事業から生じる赤字は調整出資金額(各組合員の出資金額等)の範囲内に制限されました。

 

さらに平成19年度税制改正では、

(以下、略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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続きは、書籍『スゴい「減価償却」』(杉本俊伸+GTAC著 幻冬舎メディアコンサルティング)でお読みいただけます。

 

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