【事業承継】周到な準備で承継を円滑にすすめる方法―納税猶予1(2)

 

円滑化法の制度利用には事前の手続きと要件がある

 

中小企業経営承継円滑化法は、事業承継に関して広範囲にわたってサポートしてくれる頼りになる制度ですが、申請、確認、認定などの手続きや認定後の要件など、いくつかの必要条件があります。

 

現在のオーナー社長が、あらかじめ申請手続きを行い認定されていないと、贈与税の納税猶予は利用することができませんので、手遅れにならないように注意してください。

 

中小企業経営承継円滑化法の申請、確認、認定、までの主な要件は以下の通りです。

 

(1)事前に「経済産業大臣の確認」を受けておく

 

(2)先代経営者(贈与者)に求められる要件

・会社の代表者であったこと

・贈与のときまでに役員を退任すること

・先代経営者と同族関係者であって、承継前に発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、同時に同族関係者内で筆頭株主であったこと

 

(3)後継者(受贈者)に求められる要件

・先代経営者の親族(6等親内の血族、配偶者、3等親内の姻族)であること

・会社の代表であること

・20歳以上で、役員就任から3年以上経過していること

・発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、同時に同族関係者内で筆頭株主になること

 

(4)会社に求められる要件

・中小企業基本法に定める中小企業(特例有限会社、持分会社も含む)であること

・株式上場会社および風俗営業会社ではないこと

・資産管理会社ではないこと

・従業員数が1名以上であること

・総収入金額がゼロではないこと

 

(5)経済産業大臣の認定

・認定の申請は「贈与を受けた年の翌年の1月15日まで」に、各地域の経済産業局(経済省の地方支部局)に行う

・申請された案件が、上記(1)~(4)の要件を満たしているか否かを審査のうえ、経済産業大臣が認定を行う

 

なお、同円滑化法の利用を目的に、事業承継前に申請して認定を受けた場合でも、必ずこの制度を利用する必要はありません。

 

認定後に将来、要件に満たない状況が起こりうると判断したときなどは、放棄することができます。事業承継では予期しないことが起こる可能性もありますので、選択肢を広げておくためにも、円滑化法の利用を検討してはいかがでしょうか。

 

 

(その1)に戻る。

syoei_sjigyousyoukeiこの記事はGTAC編著
『オーナー社長のための税金ゼロの事業承継』
(2012、幻冬舎メディアコンサルティング)
より転載したものです。

 

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