【事業承継】生前贈与、遺言VS特別受益、遺留分

2014年6月2日

 

「すでに、生前贈与で後継者の手元に株式は渡っているわけだから、その株式は後継者のものであり、もう自分のものではない」

 

そう思っているオーナー社長も多いでしょう。ところが、生前贈与を相続の先取りと考えて、遺産分割の際に相続財産の一部とみなして精算しなければならない場合もあるのです。

 

オーナー社長が亡くなった後、事業の継続をはばむ危険があるのが、民法の「特別受益(贈与財産)の持ち戻し」と「遺留分」です。

 

「特別受益の持ち戻し」とは、すでに贈与した財産も相続時にあらためて遺産分割に組み込んで各相続人の取得分を計算すること(ただし、計算上の取り扱いで、実際に生前贈与財産を戻すことはありません)。「遺留分」とは、民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産の割合のこと。基本的には、「遺言書」を作成していれば、その内容が優先されます。しかし、「自分が死んだら、長男に全財産を渡す」という遺言書が、もし作られてしまうと、残された家族はあまりに不公平であるため、民法では最低限相続できる財産を、遺留分として保障しているのです。

 

会社を成長させたことが仇になる?

 

厄介なのが、特別受益の価値は「相続が発生した時点での価値」となる点です。例えば、評価額3億円の自社株式を贈与し、その後の後継者の努力によって、株価が6億円まで上がった場合、この特別受益においては6億円の価値で計算されてしまうのです。

 

生前贈与分も含めた遺産総額が10億円だったとすると、そのうちの3分の2を後継者が譲りうけたこととなります。

 

つまり、他の相続人の「遺留分」を超えてしまっているために「遺留分減殺請求」がなされ、他の相続人に分ける必要が生じるのです。

 

潤沢に資産があればいいのですが、後継者は資金繰りに奔走したり、あるいはせっかく集約した自社株式を手放すことになるおそれもあります。

 

一度、争族が起きてしまえば、万能の解決策はありません。せめて、争族とならないようオーナー社長は生前から非後継者たちへの相続財産の配慮をしておくことが肝心なのです。

 

 

 

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