【M&A】売買価格は決算書の数字で決まるわけではない(2)

 

最後はすべてを数字に置き換え可視化

 

こういった諸々の権利や、数字ではなかなか表しにくい価値についても、最終的にはすべて数値に落とし込むことが理想です。

 

M&Aを成功させるためには、その会社の価値が買い手にひと目でわかるように、客観的な一つの数字にまとめなければならないからです。

 

見えないマイナス評価も同時に数値化

 

いうまでもなく、帳簿の数字だけではわからない、見えない、会社のマイナス面もあります。

 

一見すると周辺相場と変わらない価値があると思える建物でも、地震の影響で基礎が歪んでいたり、設置物の裏などに大きなひび割れが生じていたりするケースもあります。

 

また、資産内容や会社の技術力が優れていても、決算処理が曖昧で不明朗な経費が多いとなると、それで評価が下がるというケースもあります。

 

特に買い手が上場企業や大手企業の場合、株主総会などの公の場で以下のように説明を求められることもあります。

 

「なぜこの会社を買ったのか。メリットは?」「DCFの前提条件は妥当なのか」など。買い手には、数字面の根拠を伴わせて明確に説明する必要があるということを、売り手もよく理解しておきましょう。

 

買い手の視点や希望によって売り値も変わってくる

 

このように、売りに出す会社の価値は、買い手のシナジーの大きさや、何に価値を見出してM&Aを進めるのかによって、上がったり下がったりするものです。

M&Aによる売買価格は、売り手だけでなく買い手の問題でもあるわけです。

 

過去の成績表といえる決算書の数値に、今後の利益の推移といったストーリーを加味して、決算書では見えない価値を付加したり買い手の事情も考慮したりするわけです。

 

これらを客観的に判断して、最終的に一つの数字に落とし込んでいくのがM&Aコンサルティング会社のアドバイザーの仕事なのです。

 

 

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syoei_maこの記事はGTAC編著
『オーナー社長のための会社の売り方』
(2013、幻冬舎メディアコンサルティング)
より転載したものです。

 

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