【税金対策】「商品」を見る目を養う(棚卸資産評価損)(2)
国際会計基準は「低価法」を採用
棚卸資産の取得原価と時価を比較して、どちらか低いほうで評価する方法です。国際会計基準によって欧米企業では低価法を用いているために、国際的にはこの低価法が一般的になっています。
日本でも2008年からは上場企業に対しては低価法が強制的に適用されるようになっていますが、法人税法上は現在も選択制になっており、中小企業のほとんどが原価法を用いて評価を行っているようです。
ここで注意したいのは、棚卸資産の評価方法はみだりに変えられないこと。棚卸資産の評価法を変える場合は、新規評価法を採用しようとする事業年度開始の前日までに所轄税務署所長に届け出が必要になっています。原価法から低価法への変更はスムーズにいくかもしれませんが、その逆や新しい評価法に変えてから時間がたっていない場合は却下されることもあります。
さて、そんな棚卸資産の評価で節税は可能なのでしょうか。結論からいえば、次のような限られた方法しかないのが現状です。
●評価損の計上・・・・・・期末の棚卸資産の中で、一定の条件に合致すれば「評価損」を計上することができます。評価損の計上によって、損金を増やすことができて節税効果が得られます。評価損計上の条件は次の3つです。
①災害によって損壊したもの
②商品価値が著しく陳腐化したもの
③品質変化、破損、型崩れなどによって商品価値がなくなり販売不能になったもの
棚卸資産の資産評価では、単なる物価変動などによって、その資産価値が減少しただけでは評価損の計上は認められません。
●最終仕入れ単価の引き下げ・・・・・・中小企業などの場合、特別な届けを出していないときは「最終仕入原価法」という方法で、棚卸資産を評価するのが一般的です。原価法のひとつですが、事業年度の最後に仕入れた商品の「仕入れ単価」によって、その期のすべての商品を評価する方法です。
もともと「売上原価」というのは、その期に仕入れた仕入れ金額の総額(期首棚卸高+当期仕入れ高)から期末の在庫(期末棚卸高)を差し引いた金額ですから、期末の仕入れ価額を何らかの形で低く抑えれば、在庫が小さくなって売上原価を大きくすることができます。売上原価を大きくできれば、その分経費が増えて、収益(利益)を減らすことができるわけです。
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