【海外活用】 東から西へ移るアメリカの若者層(前編)
アメリカでは、「ミレニアルズ」と呼ばれる若い世代が、東部よりも西部や南西部を好んで、移住する流れがあります。それに伴って、企業も西側に集まるようになり、西部全体の経済成長を促進しています。Bloombergが「When Your Kid Moves Out West, She Takes the U.S. Economy With Her」という記事を、前編・後編の二回に分けてご紹介します。
◯アメリカ西部、若い世代に牽引され経済が成長
アメリカの西部と南西部の都市は、いまや経済危機前の水準を上回る経済成長を遂げています。若くて高学歴のミレニアル世代の賃金が上昇するにともない、住宅不足や交通渋滞が深刻化しているとのことです。
「東部において、サービス業と技術職の増加したことにより製造業が衰退したことは、国の経済の中心が西側に向かっていることを意味する。そして東部に比べて西部は、重工業時代の負の遺産を受け継いでいない」との、ブルッキングス研究所リサーチャーのコメントを記事は引用しています。
アメリカの人口重心は1790年の調査開始以来、もっとも西であるミズーリ州にまで移動してきていますが、25歳から34歳までの若年層の移動が、この流れをさらに加速しているといいます。
また人口の移動に伴い、企業も移動しており、フォーチュントップ400のうち、テキサス州に拠点を置く企業の数がこの20年間で、15から50へと増えた一方で、ニューヨークを拠点にする企業は50減りました。
2008年比での地域GDP成長率が高い都市圏トップ10のうち、9都市圏は西部あるいは南西部に位置しており、オレゴン州のポートランドで22.8%の成長率を記録していますが、ニューヨークでは6.3%です。また雇用増加率もニューヨークが2009年比で2.9%なのに対して、テキサス州のオースティンでは20%も伸びています。1990年代からの西部地域の経済的優位性は、アップルやグーグルなどが代表する先端企業や、新しい掘削技術への投資によって可能となったシェール革命によってもたらされたと、記事では解説しています。
とは言っても、ニューヨーク取引所の株式取引量は東京取引所の5倍以上を誇るなど、北東部は未だに経済、政治、文化の中心地としてその地位を保っています。一例を示せば、2014年度の選挙キャンペーンのために、候補者や政党などに200ドル以上の献金をした個人のうち、25%がニューヨークとワシントンの人々で、金額ベースではサンフランシスコとロスアンゼルスの2倍に及ぶそうです。
「ボストン、ニューヨーク、ワシントンと合わせて、5000万人の人口と3兆ドル規模の市場を支えている。成長自体はゆっくりであるが、賃金相場は非常に高い」との有識者のコメントを、記事では引用しています。
<後編に続きます>
海外活用コラム 執筆:GTAC(2015年5月11日付)
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