【海外不動産】オーストラリアの最新不動産事情
オーストラリアは、出生奨励・移民政策によって人口を増やす政策を積極的に展開しています。その結果、オーストラリアの人口は、過去10年間において平均2.3%で毎年増加しており、2050年には現在の2,350万人から4,000万人に増加するとオーストラリア政府は試算しています。
こうした人口増加を背景として住宅市場は常に活気がある一方で、恒常的な住宅不足が続いており、これは社会問題にもなっています。HIA(住宅産業協会/豪州最大手)が2010年に発表した資料によると、適切な処置がとられない場合、2020年までに15万戸の住宅が不足するとのことです。
オーストラリア最大の観光地・ゴールドコーストを擁するクイーンズランド州においては、他州からの人口流入も著しく、増加率は国内でも常にトップクラスで、2050年には現在の474万人から870万人に増加すると見込まれています。同州においても恒常的な住宅不足という状況は変わりません。
市場に出回っている住宅の価格帯は様々ですが、RPDATA(不動産調査会社/豪州最大手)によると、最も売れている価格帯は400,000豪ドル(約4,000万円)~600,000豪ドル(約6,000万円)となっています。例えばゴールドコースト地区の場合、売買数の実に半分をこの価格帯が占めています。
日本人のような外国人が購入できる住居用不動産は新築のみで、オーソドックスな投資スタイルとしては、新築のコンドミニアムや一戸建てを購入し、家賃収入を得ながら将来の値上がりを待つということになります(この他にも様々な投資スタイルがありますが、それらは今後ご紹介します)。
住居用不動産投資の実質利回り(経費等の差し引き後)は2~3%と決して高くはありませんが、毎年の人口増加で恒常的な住宅不足にあるオーストラリアの賃貸マーケットは、基本的に「貸し手市場」です。安定した賃貸収入が見込め、さらに将来の値上がりも期待できることから、日本人投資家だけでなく、オーストラリア人の投資家の間でも、このオーソドックスな不動産投資は常に人気があります。RPDATAの発表によると、例えばゴールドコーストの場合、過去12ヶ月の一戸建ての価格上昇率は3.8%であり、家賃+価格上昇の実質利回りは5~6%以上になる、と考えることもできます。
もちろん、別荘として購入し、自身が利用しないときは観光客に貸し出して収益を得るという“ハイブリッド型”の投資形態も大変人気があります。
●取引の透明性が高いのも豪州不動産の特徴
オーストラリアの不動産取引、そしてその関連取引は、透明性が高いことで他国をリードしており、安心して不動産投資ができる環境が整っています。ほんの一部ですが、いくつかの要素を列挙しますので、参考にしてください。
①不動産の所有権について
オーストラリアでは外国人による不動産の所有権を認めています。日本と同様にその物件の使用・収益・処分という行為が法律により保証されています。
②透明性の高い不動産市場
不動産の取引詳細(価格・売買日・物件詳細等)が開示されます。投資対象物件の近隣の売買事例の情報が入手できることから、それらの情報を参考に売買時における不動産の適正価格を検討することができます。
③不動産調査データが豊富
オーストラリア政府、州政府、大手不動産会社、不動産調査会社、金融機関、その他の調査機関から、不動産に関連する調査データが定期的に発行されています。市場の動向を読み取ることが容易で、それらをもとに投資戦略を練ることができます。
④不動産の流通性(再販性)が高い
オーストラリア人の間でも不動産投資は大変人気があります。売却時(出口)には、不動産流通サイトなどを介して物件の情報を公開し、購入希望者を募ることはさほど難しくはありません。
⑤取引には弁護士が介在し、法的リスクが少ない
オーストラリアの不動産取引においては、当事者双方が弁護士を立てて取引をすることが商習慣となっています。弁護士は依頼人の利益を最大限に保全することが責務となっており、初めての方でも安心して取引ができます。
⑥購入代金のやり取りは「信託口座」を利用
不動産の購入代金のやり取りについては、政府管理の信託口座が利用されます。売り主に対して売買代金を直接払い込むということはなく、信託口座を介し、入手できる権利(例えば所有権等)などと同時交換で取引をします。
<執筆>㈱ワイドエステート(クイーンズランド州公認不動産業者)代表 砂川盛作
2014年11月20日付
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