【海外不動産】さらなる住宅不足を招く?英国の新政策
住宅不足が深刻な英国では、キャメロン首相率いる保守党が低所得層を対象に住宅購入を促進させる「Right to Buy(購入する権利)」政策を推進しようとしています。しかし、この政策には巨額の資金が必要な上に、住宅不足をより招くのでは、という批判も挙がっています。Bloombergが配信した「Cameron’s $18 Billion Discount for Right to Buy Tenants」という記事をご紹介します。
◯借家を安く購入できる施策を拡大
住宅購入を促進しようというデイビッド・キャメロン首相は、住宅を割引価格で購入することのできる「Right to Buy」政策の対象人数を増やす計画を発表しました。
政府は、「Right to Buy」政策の下、130万の貧しい世帯に、現在居住している借家を購入する機会を提供する予定です。これに加え、40歳以下のファーストバイヤー20万人に市場価格より20%安く住宅を購入できる機会を与えるとのことです。
5月初めの選挙で、過半数の議席を獲得した保守党を率いるキャメロン首相は、「これまで英国は、家を購入することのできる人々と、そうでない人々とで常に二つに分断していたが、政府はこれを統一していく」と述べています。
「Right to Buy」政策は、英国最大の賃貸物件所有者である住宅協会が保有する物件にも適用拡大されます。新たに制度の対象となる約22万1000世帯は、住宅ローンを組みやすくなるとともに、住宅を購入した場合にはロンドンでは最大約10万3000ポンドの、他の地域では最大8万ポンドの割引を受ける権利を得られます。そして、その合計金額は約116億ポンドになることが想定されています。
一方、「Right to Buy」の拡大策に懸念を表明する識者もいます。その理由は、住宅の供給量が不足し、価格が上昇している中では、政府は手頃な住宅をもっと増やすべきで、現在ある住宅在庫を減らす政策を採るべきではないというものです。
地方自治体はこの割引費用の原資を確保するために、自治体が保有する住宅が空室になれば、それを売却する必要があると、政府は説明しています。また地域に、新規の住宅を建築する原資にも、この手法を活用することを検討しています。
しかし住宅の売却と建築の間には、タイムラグがあり、その間に住宅を必要とする人々の待機リストが長くなってしまうという、問題点を指摘して記事は締めくくられています。
海外不動産コラム 執筆:GTAC(2015年6月8日付)
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