<討論会>富裕層・企業オーナーのためのNISA活用法(その2)

■2013年10月5日(土)開催・特別イベント

「富裕層・企業オーナーのためのNISA(ニーサ)活用法」

~資産運用のプロがニュートラルな立場の幻冬舎に集合
 注目集める「少額投資非課税制度」の上手な使い方をアドバイス

 

実施レポート<その2>です。<その1>はこちらをご覧ください。

 

野尻氏

野尻哲史氏

フィデリティ投信

フィデリティ退職・投資教育研究所所長

 

一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て、2006年からフィデリティ投信株式会社 フィデリティ退職・投資教育研究所所長。大規模なアンケート調査をもとに投資家への提言をするなど、投資教育に従事。「退職金は何もしないと消えていく」(2008年)、「老後難民 50代夫婦の生き残り策」(2010年)、「40代のサイフ」(宝島社、2012年)、「50歳から始めるお金の話し」(2013年2月、小学館文庫)など著書も多数。現在、日本アナリスト協会検定会員、日本FP協会、日本証券経済学会、行動経済学会などの会員。

●保有金融資産が多いほどNISAへの関心も高い!?

――NISAに関心を持っている層というのは、具体的にどんな人々なのでしょうか。

 

汐見
 イギリスのISAだと、幅広い年齢層に受け入れられていて、特定の年齢層に偏っているという感じはしませんが、日本の場合、やはり投資経験者は年齢層が高いので、関心を持っている層にも多少、偏りは生じています。

 

広木
 マネックス証券の場合、問い合わせは40代、50代が中心で、他の案件に比べて女性からの問い合わせ比率が多いですね。ただ個人投資家サーベイという、マネックス証券が行っている調査によると、「NISAについて知っているか」という質問に対しては、年齢別、投資経験別、男女別に関係なく、幅広く認知されていました。唯一、差が出たのは金融資産の額で、これが高くなるほどNISAへの関心も高いという傾向が顕著に表れています。

 

――投資の非課税制度というと、NISA以外に確定拠出年金があります。どちらが有利ですか。

 

汐見
 確定拠出年金とNISAのどちらが有利かという質問をよく受けるのですが、どちらが有利かというよりも、そもそもこの2つは役割が違いますから、両方をうまく、そして積極的に活用してもらいたいと思います。確定拠出年金は「退職年金制度」です。60歳までは引き出せませんし、60歳以降に年金、もしくは一時金で受け取ります。これに対してNISAは「投資非課税制度」です。いつでも売却できますし、使い道も自由です。しかも、NISAは20歳以上なら誰でも利用できますが、企業型の確定拠出年金の場合、厚生労働省の承認を受けた企業の従業員しか利用できません。個人事業主などが加入する個人型の確定拠出年金も、ほとんど利用されていません。本来、税制メリットという点で比較すれば、確定拠出年金のほうが有利であるにも関わらず、その良さが十分に伝わっていません。今後の周知活動が必要ですね。

 

野尻
 汐見さんが言うとおり、使える人の範囲が違うし、引き出しの自由度が違います。だから、確定拠出年金は将来の老後資金を作るために活用する一方、NISAは住宅ローンの頭金とか、子供の教育資金など、ライフステージに合わせて生じてくる資金需要に対応するためのものとして使い分けるのも考え方の一つです。

 

全体

 

●「NISA向けの商品」という言葉には警戒したほうが・・・

――運用会社や販売金融機関は、商品面でのNISAへの対応をどう考えているのでしょうか。

 

広木
 うちは証券会社なので、自分のところで商品を組成するわけではありませんが、今後も積極的に幅広い商品を取入れていく予定です。制度のスタートと同時ではありませんが、来年の春には、NISAでも海外株式市場への対応も行いますので、米国や中国の株式・ETFなどに、NISAを通じて投資できるようになります。

 

野尻
 日本の投資信託業界では、毎月分配型ファンドが市場を席巻しましたが、NISAをきっかけに、毎月分配型以外のファンドも新たに出てくるでしょう。年1回決算のファンドなどが増えてくるのではないでしょうか。ただ、NISA向けの商品という言葉には警戒したほうがよいと思います。NISAは単なる非課税制度ですから、それに向く、向かないという別はないのです。あくまでも、自分のポートフォリオがあって、その一部をNISAで運用すれば良いというだけの話です。

 

汐見
 そうですね。非課税だからといって、選ぶ商品が変わるものではありません。既存のファンドでも十分対応できます。そこをしっかり認識したほうがよいでしょう。NISAは上場株式と株式投資信託が対象ですが、株式投資信託というと、株式だけで運用しているファンドと思われる傾向があります。ただ、これは課税上の定義であり、外債ファンドやREITファンドも株式投資信託に分類されています。株式投資信託という範囲の中で選べるリスク・リターンプロファイルはかなり幅広いということを認識しておくと良いでしょう。

 

 

<その3に続く>

 

 

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