【セミナー冒頭5分紹介】利回り、サブリース、フリーレント、金利変動リスクetc. メガ・大手地銀出身の不動産鑑定士から見た 気をつけるべき「不動産投資」のポイント

「3つの利回り」の違いとは？

小俣：本日のテーマに入らせていただきます。不動産投資における利回りについて、まず検討したいと思っております。そして、前提条件を置いて、不動産投資のシミュレーションを具体的な数字で検証します。その後、新築で買われた場合と、中古で買われた場合の比較をしてみたいと思ってます。

昨今、表面利回り何パーセントということでお話をされる方が多いと思うんですけれども、表面利回りがそのまま投資判断を誤らせてないかというところで検証します。

新築の物件を買うときに表面利回り、例えば6%とか7%とかっていうことで広告が打たれてると思うんですけども、そういったその6%とか7%とかっていう数字が果たしてそのまま信用できるのかというところです。

そこに潜んでるリスクなんかを検証して、最後に金利変動、昨今の金利の上昇基調にもあるところだと思いますので、実際金利が変わったタイミングでどのようになるのかというところを検討します。最後に、本日のまとめということで示させていただければというふうに思っております。

まず、表面利回り、NOI利回り、NCF利回り、大きく利回りと言っても3つほどあると思っております。先ほどお話した通り、例えば、満室の家賃が1000万円で不動産価格2億円といったところだと、単純に満室想定家賃を不動産価格で割った5%が表面利回りになるかと思います。

次のNOI利回りです。運営純収益（NOI）は「Net Operating Income」のことを言いますけれども、それを不動産価格で割ったものです。例えば、NOIが700万円で、価格が2億円であれば3.5%になります。

NCF利回りは、NOIからCAPEX（資本的支出）を引いたものを、不動産価格で割ったものを指してまして、NCFというのは「Net Cash Flow」のことを言います。例えば、NCFが650万円であれば3.25%になると、そういった数字になります。

それぞれが何を意味するかといいますと、最近だと皆さん、やっぱり不動産投資のお話とかしてても、「私は利回り5%で買いました」とか「6%で買いました」というお話をされるんですけど、主にこの表面利回りを指してるのかなと思っております。

不動産の鑑定の仕事もさせていただいてるんですけども、不動産鑑定ではNCF利回りを採用します。なので例えば、金融機関から担保評価のご相談いただく際、「この物件は5%ぐらいで回るので、評価十分出るんじゃないですか」ってお話をされるんですけれども、実際に鑑定で使うのはNCF利回りです。

経費等を全て控除した残りのものを使うので、実際は考えられている鑑定評価額というか担保評価額に達しないというのは多々あります。利回りに対する考え方がそれぞれ異なっているので、そこについてはきちんと整理する必要があるだろうということで、今回のセミナーをやらせていただいてる主旨にもなっております。

不動産価格2億円、満室想定家賃1000万円の場合

具体的な数字で拾っていこうと思っております。こちらの例で言いますと、先ほどと同じなんですけれども、不動産価格が2億円で満室想定の家賃が1000万円です。これを割ったのが表面利回りです。

さらに、この満室想定から、実際の不動産ですと、入替ですとか原状回復にかかるダウンタイムがありますので、概ね5%空室率が発生するだろうということで考えますと、実際に得られる収益っていうのは950万円です。これをAとします。

これに対して、不動産の維持にかかる固都税、維持管理費、PM費、水光熱費、修繕費、損害保険料、テナント入替費用、これは概ね2割から3割ぐらいかかりますので、間を取って25%と計算します。Aに対して25%をかけたのが経費（B）ということで、AからBを引いた運営純収益がNOIになります。

さらに、そこからCAPEX、資本的支出の積立を考えておりまして、これを建物価格、本件は1億円ですので、その0.3%と概算で毎年30万円積み立てるというシミュレーションをして、純収益が682万5,000円ということでNCFを計算しています。

それぞれ黄色が表面利回りで、赤がNOI、青がNCFということで、表面利回り5%といえども、NOIでは3.56%になりますし、さらにそこからCAPEXを引いたNCFだと3.41%になるという形でございます。

ここで、ちょっと問題提起ということなんですけれども…。

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