【セミナー冒頭5分紹介】超高齢社会で避けては通れない “賃借人死亡”で生じる諸問題 どうする?「告知義務」「賃料損害」「残置物」

 

本コラムは、2025年8月26日に開催されたセミナー『超高齢社会で避けては通れない “賃借人死亡”で生じる諸問題 どうする?「告知義務」「賃料損害」「残置物」』(講師:山村法律事務所 代表/弁護士・山村暢彦氏)の冒頭5分を書き起こしたものです。

 

賃借人死亡により生じる問題

 

山村:では、今回の目次ということで、告知義務、事故物件の損害賠償、残置物です。皆さんは、私のセミナーを聞いていただいた方も、初めての方もいらっしゃるかと思いますけれども。事故物件と言われると、事故物件ガイドラインというのが近年策定されまして、ちょっとその周りの話を今日はまとめてやっていこうかなと思っております。

では、まず1つ目。賃貸をやっていると不可避的に出てしまうのが、賃借人死亡、借りている人が亡くなってしまったという問題ですね。今回は、それをちょっとまとめてやってみようという試みです。

1つ目、告知義務という言葉を説明なしにお話ししちゃいましたけれども、告知義務というのは、部屋を貸すときに前の人が亡くなっちゃってたという時に説明しなければいけないか、物件を売却する時に借主さんで亡くなった人がいたらそれを説明しなければいけないかどうか。

基本的に告知義務というのは仲介会社、賃貸仲介、売買仲介という業者さんの説明責任というのが原則です。当然売主さんとしても、オーナーさんが売主になるケースもあると思うので、そういった借主に対して説明をしなければいけないかというのが告知義務の問題です。

2つ目の問題が、結局、亡くなってしまった時には、やっぱり同じ賃料で貸し出せなくなってしまうと。なぜなら、告知義務の対象になっているから、普通、人が亡くなったというと、家賃が下げられてしまう、売買価格も減ってしまうことが一般的です。

「家賃下がっちゃったんだから、それって誰が悪いの?」ってなったら、典型的には、やっぱり自殺とかになってくるんですけれども、亡くなっちゃった方のせいで、物件価値を下げてますよねということで、借りている人の親族に請求できるという裁判例があるんですね。なので、このあたりの問題もちょっとまとめて、どういう割合で、どういう解決しているんだろうというのを見ていきたいと思います。

3つ目も厄介なんですよね。亡くなっちゃって、相続人の方が早く荷物を引き上げてくれたら、次貸せるんでいいんですけれども、最近、相続人の方が見つからないみたいな話もすごい増えているんですよ。

相続人がそもそも見つからないとか、見つかっても何も対応してくれないというのが増えています。そうなると、部屋の中に残っている荷物を捨てちゃっていいのかという質問が聞きやすい問題です。自力救済禁止ということで、人の財産権と対象になっているものですから捨てることもできないということで、残置物をどうやって解決するんだろうというお話が3つ目です。このあたりを総括的に見ていきたいと思っております。

「事故物件ガイドライン」とは?

 

最初にお話した事故物件ガイドラインです。これが結局、どの程度だったら告知義務の対象になるのかというのが結構曖昧だったんですよ。曖昧だったから、国交省からガイドラインということでルールが定められました。

あんまり深入りしないですけど、ガイドラインってのは何かというお話なんですが、絶対的なルールじゃないんですよ。法律というのはある種、絶対的なルールで、法律で定めきれていない部分が裁判所の解決事例を裁判例として、準法律的な地位で固まっていきます。ガイドラインというのは、国交省が出している一つの基準ということで、語弊があるかもしれないけれども、法律・裁判例より一歩劣るようなものです。

結局、国交省のガイドラインというのは何をもとに作られているかというと、裁判例の蓄積をうまく文書にまとめて、一定の基準を抽出しているものです。そのため、裁判例に近いぐらいの法的効力を持っているという説明でいいのかと思います。

お話したように告知義務というのは、仲介のとき、賃貸建物として貸し出すときとか物件を売却するときに、どこまで事故歴について言わなきゃいけないのかというお話ですよね。10年前でも言わなきゃいけないのか、20年前でも言わなきゃいけないのか、逆に2年ぐらいだったらいいのかとか、そのあたりが曖昧なんですよね。裁判例だとそのあたりをガイドラインで整理したので、まずはここの基本から見ていきましょう。

そもそも、事故物件ガイドラインがなぜ制定されたかというのは曖昧だからです。一つの見方としては、これぐらいちゃんと説明しなさいよというルールである一方で、逆にここまで説明したらこれ以上は言わなくていいよというルールでもあるんですよ。流通促進を兼ねているのかなと。

続きは『カメハメハ倶楽部』で

 

カメハメハ倶楽部では、本コラムでご紹介したセミナーのほか、様々なセミナーを開催中です。カメハメハ倶楽部でしか聞けない情報を会員様限定にてお届けしています。会員登録後、各セミナーへお申し込みいただけます。オンライン開催となっておりますので、お好きな場所からお気軽に視聴可能です(一部オフライン開催、見逃し配信あり)。

無料会員登録はこちら

冒頭5分動画

 

 

※本コラムに掲載された情報を許可無く転載することを禁じます。また、本コラムに掲載された内容は、セミナー開催時におけるものであり、情報の正確性や完全性について保証するものではありません。本コラムは情報提供のみを目的としており、各種商品・投資等の勧誘を目的としたものではありません。

関連記事