【海外活用】 ベトナムがアジア経済の新しい「虎」に(後編)
非効率な国営企業と汚職の懸念というリスクがある一方で、タイに代わる東南アジアの経済センターになりうるポテンシャルを秘めるベトナム経済。前回から引き続き、Bloombergが配信した「アジアで新しい経済の虎が生まれる:グッドモーニング、ベトナム(原題:Asia’s About to Spawn a New Tiger Economy: Good Morning, Vietnam)」という記事をご紹介します。
(前回のコラムはこちら)
◯タイに代わる「メコンの星」になれるポテンシャル
ベトナムの国内総生産は、2014−2050年に平均5.3%増加すると予想されていますが、その経済成長の原動力には、人口動態が挙げられるとのことです。中国では2012年時点で60歳以上が13%を占めている一方、ベトナムでは人口9000万人のうち、60歳以上の割合は9%です。またベトナムでは、2013年時点で、15歳から49歳までの労働人口が、全人口の40%を占めているとのことです。
また、低い労働賃金も発展の要因として挙げられています。2013年時点でベトナムの平均月収は197米ドルと、タイの391米ドルや中国の613米ドルを大きく下回ります。そしてこの差は、今後さらに広がっていくことも予想されています。
一方、ベトナムのリスクとしては不良債権問題があります。非効率な国有企業をいかに改善していくのかが、政府には問われています。また不十分なインフラや、能力不足、そして汚職の蔓延は、同じくベトナム経済のリスクだと記事は指摘しています。実際、トランスペアレンシー・インターナショナルの2014年度腐敗認識指数によると、ベトナムは175の国と地域のうち、119位に格付けされています。
また、ベトナムへ拠点を移す製造業の多くは、繊維、服飾、家具などの労働集約型でかつローエンドのものが多いといいます。マッキンゼー・アンド・カンパニーのアジア事業ディレクターによると、ベトナムの製造事業部門の生産性は非常に低く、それが今後の拡大のネックになるとのことです。
一方、政府は国有企業の株式売却を進め、欧州連合と自由貿易協定に関する協議を行うなど、ポジティブな動きも見られると記事は述べています。INGグループのアジア・リサーチ部門の責任者は、アジア危機に見舞われるまで経済の「虎」として称えられていたタイと交代する形で、ベトナムが台頭することを予測しています。
海外活用コラム 執筆:GTAC(2015年4月1日付)
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