【セミナー冒頭5分紹介】不動産オーナーが知っておくべき「原状回復義務」 裁判例から見るリスク管理方法についても解説

 

本コラムは、2022年7月20日に開催されたセミナー『不動産オーナーが知っておくべき「原状回復義務」 裁判例から見るリスク管理方法についても解説』(講師:山村法律事務所 弁護士・寺田健郎氏)の冒頭5分を書き起こしたものです。

 

原状回復義務が問題になる契約とは?

 

 

寺田:目次は、今ご覧いただいているようなスライドのとおりになっております。皆さんは、一番最後のオーナー側のリスク管理、こちらをまず一番最初に知りたいところかと思いますけれども。法律ですので、基礎から順番にしっかりとなっていますので、多少のお時間お付き合いいただいて、イチから説明させていただければと思います。ぜひ最後まで聞いていただき、ついてきていただければと思っております。

では最初に、原状回復問題の前提事情です。原状回復義務が問題になる契約というのは、不動産オーナーでしたりとか、賃貸借契約をやってらっしゃるような業者さんからしたら釈迦に説法と言いますか、わざわざ言うべきことでもないかとは思います。これから、ちょっと不動産業になろうかなというようなことを考えていらっしゃる方ですとか、そういう方のために基礎の基礎からやらせていただければと考えております。

契約とは、言うまでもなく賃貸借契約ですね。それぞれ、もちろん義務を負います。オーナー側というのは、借主に対して使用収益させる義務を負います。借主は、オーナー側に賃料を支払わなければなりません。皆さんもイメージしていらっしゃるとおり、当然のことではあります。

この賃貸借契約というのは色んなフェーズがありまして、色んなフェーズごとに、それぞれトラブルの種というのがあります。賃貸借契約が始まるようなタイミングでは、重要事項説明の説明義務違反があったりします。ほかには、リゾートマンションなんかでよくあるんですけれども、リゾートマンションの部屋と事務所やプール等が一体になっている契約で、ジムやプールがまだできてない状況ですとか、賃貸借契約の始まり段階での問題としてあげられます。

賃貸借契約中の段階、これは皆さん一番イメージしやすかろうと思います。賃料不払いであったりとか、オーナーに勝手に黙って転貸しているような状況ですとか、皆さんがよくイメージするようなトラブルとなっています。

 

オーナー、借主…それぞれの思惑

 

では、原状回復義務の問題は、どこの問題かというと、賃貸借契約が終了する段階でのお話です。あとで裁判例を紹介する前に、「こういう事例なんだよ」というのをお見せするんですけれども、終了の段階だというのは一目瞭然かと思うので、ちょっと楽しみにしていただければと思います。

終了の段階ですと、これ以上その部屋に住むことがないわけですね。関係が継続しないので、この後の関係のことを気にしなくていいわけです。加えて、他のもので代わりに支払ってもらうということもできない。あくまでも、金銭を支払ってもらうか否か、金銭を返すかどうかという関係ですので、「もうどうなってもいいや」ということで争いになりやすいということが特徴としてあげられます。そのへんは留意していただければなと感じています。

原状回復について、改正前ではあるんですけれども、法律上の規定はどうなっているのか簡単に読み上げます。「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる」と、「原状に復して」と書いてあるんですね。「原状に復して」から何がわかるのかというと、正直何もわからないんですよね。借主側が「原状に復して」ということで、原状回復義務を負うんだろうなということは分かります。「原状に復して」の範囲は? その額は? 「原状」って何なの? これだけで十分なのかというと、全く十分ではないんですね。それをどうやって範囲を決めていこうかとなると、契約の解釈次第ということになります。

では、実際にどうやって契約を結んでいこうかということになると、オーナー側も借主側にもそれぞれ思惑がありますね。オーナー側の思惑としましては、当然借主にいろんな負担を負ってほしい。なんなら全部を負ってほしい。出て行って部屋が帰ってくる時には、貸す前と全く同じような状況で、究極的にオーナーさんはそう考えるのが普通かと思いますよね。

一方で、借主側はどうしたいか。当然、やはり責任は負いたくないわけですよね。そのまま出ていって、そのままで何も請求されない、敷金はまるまる帰ってくる、これが借主側からしたら理想かと思います。それぞれの思惑がありまして、実際に賃貸借契約の交渉過程はどのように進んでいくのかといいますと…。

 

冒頭5分動画

 

 

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