【セミナー冒頭5分紹介】「相続登記」を放置するとどんなトラブルに?! 2024年4月施行「相続登記の義務化」を専門弁護士がイチから解説

 

本コラムは、2024年5月8日に開催されたセミナー『「相続登記」を放置するとどんなトラブルに?! 2024年4月施行「相続登記の義務化」を専門弁護士がイチから解説』(講師:山村法律事務所 代表 弁護士・山村暢彦氏)の冒頭5分を書き起こしたものです。

 

相続登記の義務化とは?

 

山村:皆さん、こんばんは。弁護士の山村と申します。本日は、令和6年4月1日から施行された「相続登記の義務化」についてご説明します。ニュースでも取り上げられている一方で、不動産業界ではどこまで盛り上がっているのかわからない部分もありますが、基本から押さえていければと思っています。よろしくお願いいたします。

「相続登記の義務化とは何か」についてご説明します。今回、罰則が制定された点がポイントとなっています。

制度の概要を解説しているコンテンツは多くあるかと思いますが、「そもそも、何でこんなことになってるのか」「不動産業界がこういう状況だから、こういう法改正がされている」という背景のほうが概要よりも重要だと思っています。後半は、そちらについて詳しくお話ししたいと思っています。

 

不動産を相続で取得したことを「知った日から3年以内」に

 

令和6年4月1日から、不動産を相続で取得したことを「知った日から3年以内」に、相続登記をすることが法律上の義務になりました。同様に、遺産分割で不動産を取得した場合も、別途、「遺産分割から3年以内」に、遺産分割の内容に応じた登記をする義務が始まりました。

「相続で取得した」「遺産分割で取得した」というのは、二重表現のように思われるかと思います。基本的な相続の流れとして、まずお父さんとお母さんが亡くなります。そうすると、保有していた不動産は一旦、相続人の皆さんが共有で取得したという抽象的な状態になります。誰が持っているかわからない共有状態になってきます。

そこから、遺産分割という相続人の話し合いによる手続きによって、「長男さんが取得する」「長女さんが取得する」という具体的な分割を、相続が始まってから3年以内にやってくださいということです。さらに、遺産分割したら「遺産分割から3年以内」に登記してくださいというルールになっています。

特に、不動産を相続で取得したことを「知った日から3年以内」は長いなと思います。相続税については、相続開始から10ヶ月以内に相続申告を手続きしなければいけないため、3年以内というのはかなりゆるいんじゃないかなと思います。

遺産分割する目的は、相続人が具体的にどの財産を受け取るかを確定することですので、そこから3年というのは長すぎるような気がします。相当な事情がない限り、3年も必要ないのかなと思います。

原則、法律は改正されたらそこからスタートですが、今回は過去にも遡って適用されます。令和9年3月31日までに相続をしない場合、過料の対象になりかねません。今後は、相続発生から3年、さらに遺産分割から3年、という3年くくりですが、過去のものは令和6年4月1日から3年以内に登記してくださいというかたちになっています。

一応、「正当な理由がない場合」という条件がついていますので、相続登記の義務になるのはおそらく令和9年3月ぐらいだと思います。そのときには、世の中で多くの相続登記が放置されているんだろうなと思います。

 

冒頭5分動画

 

 

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